7/10雨、麺にまつわるエトセトラ

私の住む地方には三大麺という名物があって、盛岡冷麺、わんこそば、そしてじゃじゃ麺を指している。ところで、前者2つはいいとして、じゃじゃ麺って全国的に知名度があるのだろうか。

 

盛岡冷麺、とわざわざ盛岡がついているのはルーツである朝鮮半島系の冷麺と区別するためで、こちらは日本人に合うように改良が加えられたものだ。小学校入学に合わせて盛岡冷麺文化圏に引っ越してきた我が家では、当時、焼肉と言えば白米が相棒であった。メニューから冷麺という存在を知ったが特に食べたいと思わなかったし、家族からもゴムみたいな麺で美味しくないよと聞かされていた。情報操作によりファーストインプレッションは最悪、やっぱ白米だよね!

そもそも、別辛にできるとはいえ小学校低学年が冷麺を食べるのかという疑問もあるが、とにかく、私には冷麺という選択肢がないまま成長する。そんなある日。小学生も高学年ともなれば色気づき、どこどこのあれはおいしいとかまずいとか一人前に言い始めるものだ。なんとなくそういう話になった時、話題に冷麺が挙がった。各々持論を繰り出しはじめ、周りは普通に冷麺を食べていることを知る。これがセカンドインプレッション。

残念ながら、初めて冷麺を口にしたときのことは覚えていない。何かの拍子に頼んで、食べてみたら麺はゴムでできていなかった。結局、今では焼肉のお供は冷麺だ。白米もいいなあと思いつつ麺を啜っているのは保守的なのかはたまた胃腸の能力低下によるものか、それは定かではない、が、私はお酢を多めにかけるのが好きだ。

余談だが、盛岡冷麺を注文するときの辛味は別辛がデフォルトである。県外の友人と食事をしたとき、注文に戸惑っていてああそうかと初めて気づいた。私も立派にこの土地の人間になっている。

 

わんこきょうだいというキャラクターがいる。その名の通りわんこそば、およびその他地域の食文化をモチーフにしていてとてもかわいい。断トツでそばっちがかわいい。数年前、国体が開催された際に各競技をしているわんこきょうだいが描かれたのだが、帽子の被り方がおかしかわいい。水泳帽のかぶり方とか、それ中身出るじゃんでもかわいい。

わんこそばはメジャーだが、地元民の生活に浸透しているかと言われればそんなことはないだろう。今日の昼飯はわんこそばにしようと気軽に行くよりは、それこそ県外から誰か来るとか、そういうおもてなしイベントとして使われている。私自身は小学校時代の親子遠足と、職場の飲み会中の催しとでわんこそばに参加した。

そもそもわんこ自体がたくさん食べてねというおもてなし発想からきているから、これが正しい使い方なのだろう。地元民がみんな何杯食べたかの記録を保持しているわけではないし、普通にやったことがない人だっている。典型的な、有名だから地元民はみんなやっているんだろう問題。ジンギスカン用の鍋あるんでしょ、とかもそうです。本場中の本場は知らないけれど。

https://iwatetabi.jp/wanko/illustrations

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長々書いてしまったけれど、最後にじゃじゃ麺のお話。これは満州から持ち帰ったジャージャー麺を日本人向けにアレンジしたもので、肉味噌とかきゅうりがのったうどんに好みの調味料等を混ぜ合わせて食べる。最後、少しだけ具材を残しておいたら卵を割り入れスープを注いでもらってフィニッシュを決める、という二段階構成の一品だ。好きな人はとことん好きになるらしく、その魅力がわからないと言ったら3回食べろ、そうしたらわかると言われた。それは先人の知恵、古来よりの言い伝え、あるいは眉唾の都市伝説。

健気で素直な私は3回、いや4回は食べた。結論:私にははまらなかった。

苦手じゃないけれど積極的にまた食べたいとは思わない。老舗でも食べたし若者に人気みたいな店でも食べたし、けれど残念ながら、こういう料理もあるのか〜で終わってしまった。と言いつつ、もしかしたら私は5回目を食べるかもしれない。というのは、単純にその魅力を知ってみたいから、みんなそんなに言うのならどれどれ、という好奇心である。これははまっているのかただの惰性か、それは私にもわからない。