行ってきた喫茶店の記録(3)

住んでいる街が、とある世界のランキングベスト52中2位にランクインした理由の一つに、喫茶店文化が関係しているらしい。しかし、日本の地方都市などどこも似たり寄ったりではと思います。

新規開拓をしたりしなかったりの11月から2月末まで。

 

・1店舗目

あまり行かない方面にある小さな喫茶店にて、コーヒーとチーズケーキ。その昔、私にとってのチーズケーキはふわふわしゅわしゅわしたスフレタイプの、甘酸っぱい何かが塗られた光沢あるきつね色のケーキのことだったけれど、今では逆にそのタイプを見つけ出すことが難しい。不二家やコージコーナーのような昔ながらの洋菓子店に行けばあるのだろうか。

ベイクドとかニューヨークとか、チーズケーキと一口に言っても思い浮かべる姿と味は千差万別である。乱暴に言えばティラミスだってチーズケーキだろう。こちらのチーズケーキはあっさりチーズ部分とさっくりクッキー生地で構成されているタイプ。さらりと休憩するのにちょうどよい場所だと思う。

いかつい建物が並ぶ場所に小さく佇むお店の外では、店員がコーヒー豆をいじっていた。コーヒを焙煎しているお店でよく見られる、よくない豆をはじいているところだと思うが、その光景を見るといつも妖怪あずきあらいを思い出す。

 

・2店舗目

コーヒーとスコーン、きちんとクロテッドクリームが添えられていた。

スコーンが添えられていたのは確か漆の器で、あー漆いいなあーと思いながら食べた記憶がある。ちょっとしたおやつをのせるのにいいなあー、さらりとした質感で、土からできているお皿とはまた違った雰囲気だなー。

ちょうど楽天ポイントが貯まっていたので、それを使って1枚くらい買おうかなと地域の工芸店的なお店をいくつか見て回る。ピンと来ない。大きさや厚さ、重さ、質感、色。どういうのが欲しいのかと考え始めて、あれでもないしこれでもない、と一周回って買わずに終わった。ピンと来なかったのは、いいのがなかったのではなく、私が「どういう商品が欲しい」というイメージを持てなかったの意味。

クロテッドクリームとともに添えられていたシロップから、柑橘の香りがしたことを覚えている。美味しかった。

 

・3店舗目

今回の新規開拓分その1。たまに歩く通りにあって、看板から甘いものとコーヒーを出すお店だとは知りながら機会がなく入れずにいること幾星霜。やっとこさ入店し頼んだのがバナナケーキとカフェラテ。アイスはデフォルトでついてくるし、バナナケーキはほんのりあたためられている。テンションあがる。

夜はバーとして営業しており、そのためか内装も喫茶店というよりおしゃれな酒場というイメージ。椅子は背もたれがないタイプだし、テーブルもちょい高めだし。しかし、その高さが読書にちょうどよかったりする。しかし、他のお客さんを見ると大学生くらいの人が友人とおしゃべりに使っているお店のようで、読書していると浮くかな、てか覚えられちゃうかな……といらない心配をする。お店の人と顔見知りになるのは気にならないタイプだけれど、それは母親が店員とすごく仲良くなる人だからだと思う。私自身はそこまで仲良くなったことないけれど。

私の幾星霜初出典はバンプです

 

・4店舗目

ホットケーキはじめましたの文字に惹かれた。冬季限定なのだ。

味については特になんだということはないホットケーキなのですが、家庭で作るのと違うところはその焼き色の均一さだろうか。だいたい、自分で焼くとひっくり返した側の焼き加減が真鱈…ではなくまだらになってしまう。ぬれ布巾にフライパンをあてるとかなんとか、そういう小枝…じゃなくて小技は次第に面倒になる、ということで可愛らしく言えば虎模様のホットケーキの一丁あがり。

大きく薄く切られたバターは、ホットケーキに押し付けるとほどよく溶ける。ふかふかとして甘いホットケーキだけを食べ続けるとどうしても飽きがきてしまうため、塩っけが大変ありがたい。今さらながら、ホットケーキにおけるバターの果たす役割を思い知る。なんとなく載っている訳ではなかったのだ。

かつて、ここでホットケーキを食べたことが私の喫茶店めぐりの出発だったと記憶している。そんなことを噛み締めつつ、後ろの席でおばちゃんが投資の話(○年で何倍になるの!)をしているのを聞きつつ、サービスで出る締めの緑茶を飲み干すのであった。

 

・5店舗目

初の食事系の記録、そして新規開拓分その2。
写真ではわからないが冷製ではないトマトスープスパゲティで、ガラスの器は温められておりスープはなかなかに熱い。少しだけ辛味のあるトマトスープ、苦味と食感と色により玉ねぎベーコンよりも一際目立つピーマン、+50円で増せばよかった粉チーズ、そしてふにゃふにゃの麺。給食のソフト麺みたいにふにゃふにゃ、しかしすすっている途中で切れたりはしない。

時間帯のせいか相席になり、知らない人と向かい合う。隔てられたアクリル板を汚さないようにそっと口に運ぶ緊張感。けれど一度汁を飛ばしてしまったらお構いなし、ああ、白い服着てこなくてよかった!隣の席には高校生の男女、女の子は食事をしているが男の子は水を飲んでいるだけ、もう食べ終わったのか。食後にサービスで出るコーヒーに砂糖とミルクを入れるか女子が悩み、男子にどうしよう〜と聞いている姿を可愛いと思うか自分で決めろと思うか、そこがきっと分かれ道。

リュウジさんならニンニク入れるだろうなと思いつつ、その穏やかさを味わった。