お金がない!

コロナの予防接種4回目を受けてきた。副反応はなく、結局、私は「副反応で苦しんだ話」をすることなく生きることになるのだろう。

そして、人柄がいいから副反応が出ない、と余計な一言をつけてこの話題を出すのだが、誰もその大事な部分には触れてくれない。つまりそういうこと。

 

生まれてきて、今が一番お金のない時期である。どれくらいかというと、生活はできるが貯金はぎりできない、くらい。先日、鼻風邪を引いてしまってドラッグストアで薬を手に取ったのだが、1,000円程度の風邪薬を買うのに一瞬躊躇ってしまった。

お金がないのは退職して数ヵ月の無職期間を経たからで、それは自分で選んだ結果だろと言われればそれまでなのだが、そんなことを言っていたら誰も何も話せなくなるではないか。ということで聞いてください。

 

生きていく上で最低限必要なお金はどれくらいなのだろう。住居と食料を確保し、電気水道ガスが使えれば、とりあえず生活できる。通信費をなくすことは現実的ではないし、清潔さを保つために、多少の掃除道具や自分を洗う石鹸はいる。大昔に、一ヵ月1万円生活なんてテレビ番組もあったような。あれは光熱費の基本料金が含まれていない気がしたが、それでも、大した金額ではないだろう。

本当の本当に最低限の生活費は、そんなに大きくない。

しかし、である。一ヵ月ならともかく、数ヵ月も新しい服を買わずに生きることができるだろうか。それは、同じ服を着ることに飽きるという精神の問題であり、同じ服を着続けるとくたびれてしまって着用に支障が出るという現実の問題でもある。

髪のごわごわが気になれば、新しいシャンプーを試したい。お皿を割ってしまうかもしれないし、割らずとも、使い勝手のいい大きさの皿が新たに欲しくなる。話題のコンビニスイーツをチェックして世間の流行を知りたいし、疲れたらマッサージなりスーパー銭湯あたりに出かけたくなる。そうそう、新しい本を読むことくらいさせてほしい。

 

振り返ってみれば、今まで何にお金を使っていたのかよく思い出せない。少し気に入らないことがあればお金で何かを手に入れ、そうして手に入れた何かも気に入らなくて、さらにお金を使う。雪だるま的なお金の使い方をしていたことに、自分自身は気づいていなかった。

収入が減って、今までと同じ金銭感覚では生活できなくなった今、私は節約を余儀なくされている。そういう状況になって初めてお金と向き合っている……というのは言い過ぎな気もするが、なあなあにお金を使うことはしないように気をつけている。

節約とは我慢ではない。この300円で、スーパーで果物を買うか、コンビニスイーツを買うか、はたまたパン屋に行くか。あるいは、食べ物は諦めて本代の足しにするか。これを手に入れればあれが手に入らない、という収支の帳尻を合わせるパズルだ。支出が上回り続ければパズルは崩れてしまうし、それが嫌なら働くなり借りるなりして収入を増やすしかない。

私ってばこんなに金銭的にルーズだったかしら!と我ながら悲しくなる一方、まあそういう状況にならないと学習しないよねと開き直って、財布やら通帳やらと睨めっこする。カツカツではあるが悲壮感がないのは、結局、自分で選択して今があるからだろう、と話が元に戻ってしまった。

そういえば、あなたには悲壮感がないというご指摘?を受けたことがある。もう少し暗くやつれた顔をしていれば、不憫に思った神様あたりが一等当選宝くじでも差し入れてくれるのだろうか。でもそうなら世の中に悲壮感漂う人はいなくなるはずなので、余計なお世話ですね。