最近、美術館が難しい

カテゴリにアートがあったことを思い出したように書いてみる。

 

これは全く関係ない川の写真

 

中高で美術部に所属し(県内だけれど)それなりに大きい賞を取ったり、大学で美術史を専攻し高校美術教諭の免許とついでに学芸員資格まで取ったり、私の人生は「美術」とは切っても切り離せない。美術館でインターンをしたこともあったし、本当は学芸員になりたかった。すべて、今は昔の話だけれど。

教員免許はそのうち有効期限が切れるので、そろそろ「持っている」とは書けなくなってしまうのがさびしい。ちなみに、学芸員の資格は必要な単位を取得しているかどうかなので、免許状が発行されるわけではないです。たぶん。

嫌々美術と付き合ってきたわけではない。作品を作るのは楽しかったし、誰かの作品を見るのも面白かった。だからこそ、大学でも美術を学ぼうと思ったわけだ。ただ、最近は美術との、いや、もっと具体的に言うと美術館との付き合い方がわからなくなってきた。

みんな、何のために美術館へ行くの?

 

 

大学は東京都内にあったので、いろいろな展覧会を見に行った。学生時代に美術館へ行く理由というのはいつも同じで、すべて「勉強」のためである。展示作品について深く知ることもそうだし、会場の様子も含めた展覧会の構成について考えることも勉強だった。常に批判的に見て自分なりに問題点を探すこと、それが美術館に行く目的だったんだけれど、まあ、学生ならそういうものだよね。

就職して、美術とは縁遠い……わけでもないけれど、少し距離のある立場になった。美術の勉強が直接、仕事に役立つわけではないという状況。多くの人はそうだろう。美術の知識がなくたって、会社員になれる。

美術作品は好きだし、美術館に通う習慣は続いた。地元の美術館だったり、たまに東京周辺だったり、それほどの頻度ではないものの、数ヵ月に一度は美術館に足を運んだ。

 

もうなにも私を縛るものはない!展覧会を見た後の、授業での発表やレポートの提出、教授からのツッコミもなにもない!!自由に、のんびりと見ていいんだと開放感があった。

就職して最初に見たのはなんだったかな、ガンダムUCのタペストリーだったかな。ええと、<貴婦人と一角獣>が来た、新国の企画展。東京に行って、一人で見ようと思ったのになんだか知らないがついてきた友人を(めんどくせえな……)と思いつつ、美術館に向かう。

作品を目にして、横でなんだかはしゃぐ友人を(うるせぇ……)と思いつつ、ポカンとタペストリーを眺めた。すごい、とは思う。技術的なこととか保存されて今まで残り続けていることとか、歴史的な意味で。でも、心に響いたかどうかと言えば、???だった。でも、そこは個人の好みがあるからね、今回は合わなかったのかもね。

 

その後も美術館に通ったけれど、強烈な印象の作品ってそんなにはない。一度しか行ったことのない企画展で初めて見た作品なんて、ほぼ憶えていない。常設展に何度も通って憶えた作品か、あらかじめ見たことがある作品、あるいはよっぽど好きで待ってました!という場合でなければ、作品を記憶にとどめておくのは難しいんじゃないだろうか。初めて見てビビビときたなら、それってすごいことだと思う。

じゃあ、図録なりポストカードなりを買えって話なのかもしれないけれど。あれ、私の記憶力が悪いだけ??

 

美術館との付き合い方を、もう少し考えたい。

私にとって、美術館は右から左に「見て」いるだけの空間になっている。見てどうするか。かつての私には、発表するとかレポートにするという目的があったけれど、今はない。あるいは、そもそも見て終わりでいいんじゃないのか、という意見もあるだろう。

どちらにせよ、見てさあどうする、という手持無沙汰感に納得がいかなくて美術館に行かない人もいるんじゃないだろうか。私は美術館に通うけれど、見終わった時に変な顔をしている。今日の経験を、どう生かせばいいの?

ちょっと皆さん、なんで美術館に通うのか教えてくださいよ、マジで。

 

 

去年だったか、サントリー美術館日本画の展示を見に行った。一緒に来た友人(さっきとは別人)は日本画専攻だったので、きっと気になることがいっぱいあるんだろうなあと横眼に見つつ、ぼんやり作品を眺めていた。

放屁合戦の絵巻があった。文字通り、登場人物たちがすごい勢いの放屁で競い合うという、訳の分からない絵巻。

下ネタはいつの時代も人気なんだなあ、という学びも「美術館」のおかげか。