皆さんには思い出の本はありますか?
あるいは、記憶に強く残っている、感動した、怖かった、面白かった、特に感想はないけれどとにかく内容は覚えている、そんな本やお話や文章はありますか?逆に、つまらなかった、好みじゃなかったと覚えているものは?
読書の体験なんて、人それぞれです。
私は、つい先日、読むんじゃなかったと思える本に出会いました。
食べ物の話が好きで、そういうことをたまに書くんですけれど、その本には「こういう風に書きたい!」ていう理想が、そのまま表現されていたんです。それがとても悔しい。数学(なんでもいいんですが)の問題を解いていて、あーわかんない、でも答え見るのは嫌だ、もう少し粘ろうと頑張っていたら、友達が「それこうするんだよー」って解答してしまったみたいな。私は自力で解きたかったのに……なんで答え言っちゃうの、という気持ち。
この作者は本当に食べることが好きなんだろうな、というあたたかみが伝わってきます。食べ物に対する目のつけどころが愛情にあふれているし、その食べ物にまつわるエピソードもつかず離れずでちょうどよい。直接的につながる話ではなく、ぽわぽわと、連想させるくらいの距離感。言葉のリズムも心地よいです。何より、日頃からいろいろな食材を調理したり、食べたりしている経験が、文章ににじみ出ています。
自分で何書いているのかわからなくなってきた。
ブログを書いていて、最初はどうしたいのかわからないんですが、あーでもないこーでもないってやっていると 、たまにこれだ!っていう文章が書けます。そうやって、自分の文章の方向性、どういうことを伝えたいのか、を考えていく過程が私は好きです。この記事は好き、こういうことを書きたいんだよな、こっちはちょっと無理しているな、もう少し自然体で行こう。
だんだん目指したい姿が見えてきて、書くのが楽しくなります。ゴールの見えないマラソンはつらいですが、ときには自分でゴールを見つけるのが楽しいこともあります。
それなのに!
私は試行錯誤をすっ飛ばして、これだという文章を見つけてしまいました。見たら最後、いろいろ書いてもなんだか「理想」に引っ張られてしまう。問題なのは、その理想が自分で生み出したものではなくて、誰かが作っているものであり、それに乗っかってしまうのはただの真似でしかない、ということ。格好良く言えばインスピレーションを受けた、ということになるのでしょうか。
まあ、「理想」と自分の実力には差があるので、そうそう簡単には真似できないんですが。
もちろん、いい文章を読んで、それを糧にしていくのは大事なことです。ただ、この本は私にとってあまりにもド直球でした。答えをチラ見しつつも、ほかの解き方はないかなーと、引き続き試行錯誤していきたいです。
もう一回、寝る前に読も。
これです。
— ねます@はてなブログ (@nemasuuu) 2019年5月12日
作者は歌人なのか。だから言葉の響きが心地よいのかな。
盛岡のブックストアが初の出版物 俳句と食にまつわるエッセー集 https://t.co/5TwuJVZs22
ペラペラ(失礼!) で1000円だから響かない人にとっては高いだろうし、ドンピシャな人には値段なんて関係ねえ、というところでしょう。