のどが渇けば

一杯目は確かホワイトオレだったと思う。

友人とファミレスで、とある計画を練ることにした。先に来てドリンクバーを注文し、早く来ないかなあと本を読みながら待つ。あ、甘い。あっまーい☆って感じ。昔はこの甘さがたまらなかったけど、今飲むと逆に少々きつい。私も大人になったということか。

 

彼女はまだ来ない。

 

計画というのは逃亡計画だ。

業務に忙殺され、水をやり忘れた心はすっかり干からびてしまった。サラサラの砂になってしまったら、水を入れてやっても元の形には戻るまい。そうなる前に、私たちは潤いを求めて旅立つことにしたのだ、マイナスイオンを浴びに。

ところで、マイナスイオンって本当は存在しないって聞いたけど本当だろうか。せっかく高いヘアドライヤー買っても意味ないってことかよ。

 

ホワイトオレを飲み終わったころ友人はやってきた。長い髪をバッサリ切った彼女は、どこかふっ切れた様子でさわやかだったし、髪を切らなければならないほど、心境に変化があったのかと思わせる程度には疲れて見えた。まあ先入観なんだけれども。

彼女もドリンクバーを注文し、お互いに食事を決める。

がっつり食べたい、と言っていた割には軽食じゃないそれ?まあ、あんまり食べないもんね。ハンバーグとライスを考えていたけど、じゃあ私も単品で済むものにするかあ。

 

彼女の口からは、いかに現在の労働環境が劣悪であるかを説明する言葉が次々と飛び出してきた。おおう、こういう感じだったっけ。その職場は忙しいのに加えて、大声パワハラかまってちゃんやら不条理非常識上司やら、とにかく人材がそろっているらしい。はたから見ている分には楽しいが、当事者はたまったものではないだろう。

よく耐えたね、えらいよ。私も大変だったけど、この人よりはマシだったかもな。なんて苦労を比較するから、私はダメなんだろう。ニンジンが嫌い、ピーマンが嫌い、それと同じで、私も前の職場で耐性が低いものに当たってしまったのだ。それなりに苦労したよな、えらいぞ自分。

こうやって余計なことを考えているあたり、私はこの人の話をまじめに聞いていない。そろそろ、はやく宿の予約しようよー。

 

2杯目をおかわりする。次はカフェオ・レにした。

話は転職の話題になった。でもしたいことが見つからないんだよねー、みたいなことをしゃべる。逃げの転職はダメで攻めの転職はいいとかねー、言うよねー。

あ、今年齢の話したでしょ。私のほうが年上なんだってば、あなたが30歳になることを気にしているところ、私はもうオーバーしているんだってば。と心の中で抗議する。まあ、年齢が気にならないくらいには仲がいいってことにしましょう。

  

そうやってグダグダしゃべって、3杯目のカルピスソーダ飲んで、やっとこさ宿決めて、グダグダして、お別れした。今日の続きは宿で行うことになるだろう。私も今からネタ作って対抗しなきゃ。食事も温泉も景観も、もちろんおしゃべりだって非常に楽しみである。

 

久々によくしゃべった。心が少しうるおった時間だった。