自分をプロデュースしよう 『あなたの話はなぜ「通じない」のか』(山田ズーニー)

読みました。『あなたの話はなぜ「通じない」のか』

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)

 

本の裏表紙には、「コミュニケーション上手になるためにはどうすればいいのか?基礎のキソから懇切丁寧に教えます。究極のコミュニケーション技術論!」とあります。口頭のコミュニケーションよりは、文章上のコミュニケーションのほうが当てはまる内容なのかなーと思いながら読みました。筆者が、ベネッセの小論文担当だったという前情報に引っ張られた感想かもしれませんが。

円滑なコミュニケーションを行うための準備について論じられており、ブログやツイッターでも使える技術ではないかと思いました。

 

全体を通して出てくるのは「問い」というキーワードです。

例えば、「考える」作業とは自問→自答を繰り返すことで、最後に腑に落ちたところで出てきたのが自分の意見だと言うところ。また、一発で話が通じるために必要なのは相手の問題意識、相手が抱く「問い」に対して、正確に返答することだと言うところ。

特に、相手が抱く「問い」をコミュニケーションの中できちんと共有できないと、相手にストレスを与えることになります。「映画何見るー?」「あ、映画終わったら、話題のカフェに行こうよ」「いいねー、で、何見る?」みたいな。映画何見るか聞いたんだけどな、カフェもいいけど今は映画の話したいんだけどな、みたいな。

問い、というと堅苦しいので、興味関心と言い換えてもいいかもしれません。SNSでは発信されたメッセージが残るわけですから、より、興味関心を追いやすくなります。こういう考え方なんだ、こういうものに注目してるんだ、気が合いそうだなー。人気があるブログは、興味関心があるものがはっきりわかることが多いと思います。

 

もう一つ気になったのは、自分の持つメディア力を振り返る視点です。

メディア力というのは、その人が持つ情報発信の影響力や信頼性などの総合力です。例えば「宇宙人発見」という同じメッセージでも、スポーツ新聞が言ったのかNHKが言ったのかでその意味合いが変わってきます。そういうことです。

こちらもSNSで考えると、自己紹介の内容だったり、いわゆるいいね!の数だったり、そういったところから読み取れます。○○の仕事してるんだ、じゃあこの話題に詳しそうだな、意見もかなり正確なんじゃないのか。これだけの人がこのページを見ているんだ、信頼できそうだな。誰もがやっていることだと思います。

 

読みながら、PC診断が流行っているのも、よりよく自分を見せたい、自分のメディア力を上げたいという無意識の願望かなと思いました。情報を発信する「わたし」という媒体をどう見せるかによっても、コミュニケーションの質は変わります。それは、自分がどんな人間になりたいのか、ということを考えることにつながるのではないでしょうか。

 

初めての出会いが増える季節に、改めて読み返したいです。

 

uhi13.hatenablog.com自らメディア力を下げてしまった話、とも言えます