11/15晴れ、「名乗るほどでは……」というわけにもいかず

朝、起きる時間が少しずつ、しかし確実に遅くなっている。何分で準備をして出発できるか、日々繰り広げられるタイムアタックは、失敗すれば遅刻というチキンレースでもある。

冬が好きだけれど、寒いし気温低いし凍えるし、ちょっと冬を過大評価しすぎかもしれない。

 

自己紹介、という行為が全くもって苦手である。

今の時期はほぼすることがないけれど、新学期や年度初めの季節は考えただけで気が重くなる。人前で話すことはいいんだけれど、わざわざ人前で話すような内容は思いつかない。仕事関係の自己紹介はまだいい。適当にごまかすことができるけれど、プライベートな、私個人としての自己紹介は本当に難しい。

 

今年に入って、久しぶりに仕事以外で初対面の人とコミュニケーションを取る機会があった。……思考が止まる、え、やっぱり自己紹介から?もうすっ飛ばして世間話でもしようか、いやいや、私が害を加える気がない安全な生き物だとわかってもらうためにも、まずは何者であるか伝える必要があるだろう。と考えて行った自己紹介は、レンチンで温める時間を大幅に間違えた結果水分が蒸発しきったパンのごとくガチガチであった。

自己紹介、というのは自分のプロデュース力を試される場面である。発信する情報を操作すれば、こう見られたいという理想に近づけることができる。と言っても、その後話したり何かする中で、この人はこういう人だという印象は、修正されながら相手の中に作られていくけれど。この人の第一印象はどうだったか、ということは一般的にどれくらい覚えられているのだろうか。

と考えて、私は結構記憶が残っている気がする。少女漫画よろしく、「第一印象は最悪だったけれど、今は……」みたいなこともある。第一印象が悪くてその後の印象を良くした方が、「いい人」感が強くなるらしいから、この経験をしている人は少なくないんじゃないのだろうか。じゃあ、やっぱり第一印象って大事なのか。

 

しかし、第一印象って自己紹介の内容では決まらない気もする。おはようございます的な、当たり障りのない挨拶から始まり、表情とか服装とか雰囲気とか、様々な要素を総合してぽわーんと決まる。そして、ぐだぐだやっているうちに、仲良くなれそうと感じたりいつの間にか仲良くなっていたりするもので、論理的に考えて関係を築いているわけではない。少なくとも、わたしはそうだ。

自己紹介という文化、なくならないかな、なくならないだろうな。

第一印象は別として、自分がどういう人間か、何に興味があるかくらいは話せたって損にはならない。ならないけれど、やっぱり人に話すほどの内容は思いつかなくて、あれ、私の人生ってそんなにつまんなかったっけ、なんて考える。でも待て待て、そんなに個性的な自己紹介を、今までに聞いたことがあっただろうか。

印象は覚えているけれど、自己紹介は覚えていない。そんなもんだろう。そんなもんだけれど、やっぱり、時期が来ればどうしようかしらと30秒くらいは考えるもんでもある。じゃあ、その30秒の私に期待するか、と問題を先送りにするのもいつものことだ。