美術館に行くと「学ばなきゃ」と思うあなたへ

それはそれでいいのです。

ただ、知識を吸収しようと思うあまり、文字ばかり追ってしまって作品に集中できない、それがとても残念だと思う人に対して、この文章が参考になればいいなと思います。

 (これは美術館になじみがない人向けの話です。科学的根拠はありません)

 

せっかくの連休なので、岩手県立美術館に行ってきました。

 

 

 

展示内容としては、前半がタータンの歴史、タータン柄の説明等があって、後半は伊勢丹等の企業が使っているタータンやファッションにおけるタータン柄の使用例が展示されていました。最後は写真取れたり、伝統的な着付けが体験できたり。

個人的には、もっとファッション分野のタータンについて割かれるのかと思っていましたがそうではなかったし、いつもより少しボリュームがなかったような気もします(展示品が少ないということではなく、大きさの関係でそう感じたのかな)。「タータン」の定義をしっかりと追う展覧会でした。

 

学術的というか、頭を使う展覧会だったような気がします。

 

最初は私も、歴史を勉強しなければ、だって入館料取られてるんだし、と思って気合い入れてキャプション(展示品の説明が書いてあるやつ)を読んでいたのですが、途中でやめました。やめて、新しい口紅ほしいなーとか、靴買いたいなーとか考えていました。このタータン柄かわいいなーとか、やっぱり合わせるなら白セーターだよなーとか、オニールオブダブリンもう一着買おうかなーとか。

すでに一着持っている

美術を大学で学んだ、と言ってももうしばらく前ですが、そういう私でさえ、自慢じゃありませんが集中力はもちません。美術館に慣れていない人、あるいは美術の知識がない人が、美術館に行ってキャプション覚えて帰ってこようなんて無理な話です。もちろん、学ぼうという姿勢は大事ですが、「学ばなきゃ」と脅迫観念的に思っている人がいたら、そうではないよと言ってあげたい。

スポーツだって、一度の観戦ですべてのルールや選手の名前を覚えたりできませんよね?そういうことです。

 

じゃあぼーっと見ていればいいのかというと、そうでもいいですが、せっかくの入館料がもったいない。なので、一点だけ気をつければいいんじゃないかなと思います。

 

自分が何を感じたか覚えておく。

 

展示のこの章、このブース、あるいはこの作品。何か心に引っ掛かったり、考えが浮かんだり、何か思い出したりしたら、その内容を覚えておいてください。作品のことは忘れても構わないので、自分が何を思ったかだけ覚えておきましょう。

美術館って、非日常的なところなんです。普段決して見ることのできない古いもの、海外のもの、あるいは自分じゃ到底思いつかないもの。そういうものを目の前にして、いつもと違う働きを、脳がする。そうしたら感情や欲求が揺さぶられて、何か思い出したり、思い浮かんだり、あるいは忘れてしまったり。

そういう楽しみ方もあると思います。

私がいろいろ欲しくなったのも、美意識が刺激されたからだったり(にしてもちょっと俗物的すぎる)。

 

まあ、美術館に行って美術以外のことを考えたっていいんです。その考えが、目の前の作品と関係があるかどうかなんて誰にもわかりません。逆に、ずっと別のことを考えていられるのなら、それはそれですごい集中力の持ち主じゃないですか!

いつもとちょっと違うところを刺激する。それも「学び」です。

美術に限らず、芸術にはそういう力があると思います。ぜひ楽しいアートライフを送ってください!