いつもと違う冬がきた

なぜなら加湿器を手に入れたからである。

 

マイナンバーカード作成やらバーコード決済ポイント還元キャンペーンやらで稼いだポイントを、加湿器と交換した。今のアパートは特に乾燥がひどく、冬場の部屋の汚れ方が著しい。つまり、乾燥により綿ぼこりの動きが活発化、あちらこちらの隙間からふよふよ漂ってくる。自分の喉や鼻といった粘膜の違和感ではなくほこりで乾燥を感じる程度に鈍感なのだが、何か変わるかと思って加湿器を導入した。

一週間以上は使い続けている。ほこりは普通に出てくる。喉や鼻についても、加湿器があるからなんだという感覚はない。40〜60%が適正だと説明書か何かに書いてあったので守りながら使っているのだけれど、果たして正しく使えているのだろうか。サーキュレーターも併用しつつ、空気を循環させているんだけどな。特に潤ってる感はないんだよな。

 

いつもと違う冬、もう一つ。

先日、雨で濡れた道で盛大に転んだ。道路の、マンホールじゃないけれど蓋的なやつの、縁の金属部分にすべって転んだ。その手前で、飼い主がスマホをいじって前方不注意状態のパグに出会ったことを覚えている。歩道の片側に寄って歩いていたら向こうも同じ側に寄ってきて、パグー!と少々苛立ったんだっけ。仕方ないから逆サイドに寄ってパグとすれ違って、パグー!と思いながら歩いていたら、すべった。

カタカナの「ヒ」の形に、お尻から地面にぶつかった。

痛いというか衝撃だった。お尻が真っ白に塗りつぶされたイメージが思い浮かび、それはサーモグラフィーから来ているのかもしれない、とまで考えて立ち上がった。よろよろ歩く、いや、本当は痛くて歩けない。でも歩かなければ、人目がある。恥ずかしさは痛みに勝るのだ。

その日は仕事だったのだけれど、あまりに痛いため、早退して病院に行った。受診先は整形外科、壁に貼られたポスターには「労災隠しは犯罪です」。出勤前だったし労災にはならないよな、労災だと保険証使っちゃダメとかあるんだよな、確認してくればよかったな、と心配していると、診察室に呼ばれた。

 

結局、異常はなかった。レントゲン写真を見て、きれいな大腿骨ですねというどこで自慢すればいいのかわからないことを褒めていただき、お尻、正確には仙骨のあたりは肉も脂肪もつきにくいから、転んで打ったりするとかなり痛いのだと説明を受けた。二週間くらい痛みは続くと言われ、実際それくらい痛みは残った。

今現在、痛みはない。久しぶりにサロンパスを買って、部屋のゴミ箱に捨てたら部屋中臭くなって慌てて廊下に出したり、同じ所に貼り続けて赤いサロンパス跡ができたり、いろいろあったけれど急変もなく今に至る。

これのどこが一味違うかっていう話だけれど、雪国で生活する人であれば特に、冬道で転びたくないという緊張感があるものだ(と思っている)。しかし、私はもう転んでしまった、ということはつまりそのプレッシャーから解放されたのだ。

雪道じゃなくて、雨が降っていたとはいえ普通の歩道で転んだわけだけれど、その辺、雪国民のプライドとかないので。