(最初にインターネットで調べていればよかったかもって話)

モバイルルーターの調子がおかしい。1時間でバッテリーが20%ほど減る。この間まではつけたまま寝てしまっても、朝までぎりぎり生きていたのに。

 

ルーターを買い換えようと、契約している通信会社のホームページをひらく。契約は今のまま、端末だけを買い換えたい。進んでいくと契約情報を入力する画面になった。必要な情報を入力して送信を押す。エラーメッセージが返ってくる。

お客様の契約内容では購入できる端末がありませんだかございませんだか、とにかくそういうことらしい。世の中は難しいな、と思いながら表示されている電話番号にかけてみることにした。ただいま非常に混んでおります、しばらくお待ちいただくか、おかけ直しください。通話内容は品質向上のため録音させていただきます。ギザギザにささくれた音質のメロディーを何周しただろうか。時計の長針が数字2つ分ほど進んだ頃に、機械的ではない声がやっと聞こえてきた。

いかがなさいましたか、はい、それでは契約内容を確認しますので、お客様のお名前と生年月日、それから住所を教えてください。はい、はい。えーと、お引越しされました?住所が違うようですが……。そうですね、前の住所を、建物名まで教えてください。

 

前の住所なんて覚えていない。何かわかるものを、と考える前に反射的に思いついたのは年金手帳だった。身分証明書の一つとして住所を書いていたはず、持っててよかった年金手帳♪一発逆転年金手帳♪という即席ソングが頭の中で鳴り響く。しかし、建物名は書いていない。

くそが、と己を呪いながらGoogleマップを開いた。住んでいたあたりの地図をスワイプすると、建物の名前が出てくる。そうだこれだ、なんで思い出せなかったんだろう、学生の頃に住んでいたアパート名は今でも覚えているのに。

ちなみに、電話はスマートフォンでかけているので、地図アプリはタブレットで開いている。今回は、持っててよかったタブレットソングが流れてこない、というのも次にくる歌詞でいいのが思い浮かばなかったからだ。しかし、起動に時間のかかるPCだったらこうはいかないので、個人的に小回りの効くタブレットは使い勝手がいい。

とにかく、本人確認ができてほっとしているとオペレーターから衝撃の言葉が発せられる。こちらでは承れないので、これからご案内する電話番号におかけください。エ、ホームページに端末のみご購入の方はこちらにって書いてある電話番号に連絡したのに、じゃあ私はどこに電話したの?あなた誰?という疑問が生まれ、しかしなんかいろいろあるんだろうと納得した。電話代がそこそこ、と言っても数百円だけれど、生じているだろうことが悲しい。

ここまでの流れで、半分以上は電話が繋がるまで虚空を見つめていた時間だったけれど、問題も解決していないけれど、とにかく用は済んだ。なんかもういいや、ルーター使えないわけじゃないし、と先ほどの電話番号もメモすることなく聞き流してしまう。

バッテリーだけなら通販や店舗でも購入できますよ。最後の最後、私の耳に届いたその声は神か仏の言葉だった。

 

結局、代引きしか使えない通販でバッテリーを購入した。Amazonには非正規品もあったけれど、そこまで大きく値段は変わらないので公式から購入した。待ち望んでいた希望の光は、まだ箱に入ったままだ。せっかくだし年末あたりに開けようと思っている。どうでもいいけれど、最近、電化製品を購入した日をカレンダーアプリで記録している。毎年表示されるようにしておくと、調子が悪い時に参照しやすくて便利です、というライフハックでした。