@ミナ ペルホネン/皆川明 つづく

ペルポネンだと思っていたらペルホネンだった2022年秋。

出たわね!あおもり犬!

少し遠出をしたくて展覧会に出かけた。会場にはこだわりがありそうな出立ちの方が多く、虫取り網が似合う格好の自分はいささか居心地が悪い。しかし、交通費とチケット代とを払っているのだから、と意気込んで中へと進む。

こだわりある理念に忠実なものが作れたらそれはそれは楽しいでしょうね、というのが主な感想である。展覧会最初の部屋では、tambourineというブランドを代表する柄について紹介されていて、それはどんなものかというと粒のような円で丸を描くパターンだ。粒のような円、というのはステッチで一つひとつが刺されているからで、✳︎状に糸が動いているのがわかる。✳︎が○を描いている。

なので、○をじっくり見ていくと✳︎がそれぞれで少しずつ異なっているのがわかる。たとえ同じ生地であっても、こっちの○の並びの方がいいとか、ささやかな差異で選ぶことができるのだろうか。この✳︎を生み出すために工場へどのように発注したのか、そのやりとりもわずかながら公開されていて、その様子から、「楽しいでしょうね」という感想を抱いた次第である。

別の部屋では、図案と実際の生地とが並んでいた。soda waterと名付けられたパターンは、ランダムに並ぶ青い水玉をよく見ると、織の方向によって個体としてそれぞれを認識できる。図案には矢印が描かれており、それが織る方向を示していた。糸の方向で動きを作ろうと思って、それが実現できたのなら、やっぱりそれはそれは楽しいだろう。

 

だんだん、見ているだけでは足りなくなってきた。触ってみたい。

でこぼこだったりつるつるだったりふかふかだったり。展示されている服や生地からその感触を想像することはできるけれど、実際はどうなのだろう。そもそも、服とは身につけるものなのだから、触感つまり着心地が大事だろうに、通販でばかり服を買う私は見た目重視になっている。どころか、ほぼほぼインターネットで完結する生活を送っているので、視覚と聴覚は酷使しているが、その分触覚が生かされる場面が少ないような気がする。

それが関係しているかどうかはわからないが、後半はなんとなく指先が物足りないような気分になった。ちなみに、鑑賞後はミュージアムショップに寄ったのだが、そこにはミナの商品が置かれていた。先ほど観てきたパターンを使った服やバッグが並んでいる。私と同じ思考で指先がうずうずしている方は、ここで商品を触り、うずうず欲に導かれるままレジに向かってしまうのでは、というのは考えすぎかもしれない。

ブランドのこだわりに触発されかつ手先がうずうずしていた私は、tambourineモチーフのブローチを手に取り予想以上の重みに欲が高まったところで値札に書かれた数字で我にかえる、という有様だった。

 

美術館で展示されているものは触ることができないが、その辺3Dプリンタとかで誰かなんとかしてくれないかな、と雑に考えつつ帰路につく。帰りにお寿司屋さんで食べたうにが美味しくて、この日の感想が展覧会楽しかったからうに最高!に塗り変わってしまったのは致し方ないことである。だって、うに最高!

写真可会場。右下青い服がtambourine柄です