先日、友人と会う約束があった。
待ち合わせは11時からだったので、早めに行って近くでコーヒーを飲みながら読書でもしよう。じゃあ、何時に家を出ればいいかしら。
私はこの手の計算が苦手だ。何が苦手って、自分がコーヒーを飲みながら読書をする時間の見当がつかない。30分、1時間、それ以上。短すぎるとそわそわするし、長すぎると飽きてしまう。ただ時間を潰すだけならどうとでもできる、が、人を待ちながらという条件が入るとこの問題はとんでもなく難しい。
待ち合わせ、というのはちょうどよい口実になる。例えば、普段は頼まないフードメニューをスターバックスで頼むときの。いつもよりちょっと楽しい日にするための演出である。なので、時間通りに行けばいいじゃないかという回答は無粋だ。その日がまるっとよい日であるために、待ち合わせ前にはコーヒーを嗜まなければいけない。
その日、私が選んだのはミスタードーナツだった。約束の時間まで45分。読書をするには短いがスマホをいじるのにはちょうどよい時間だろう。
ショーケースをのぞく。むぎゅっとドーナツなるものが食べたかったのだが、真っ先にオールドファッションのホワイトチョコがけクランチのせが目に飛び込んでいきた。こんな魅惑的なドーナツがあるのか！ミスドなんて久しく来てなかったからな（注：調べたらむぎゅっと〜は6月発売の商品で、私はその頃にCMを見てからからずっと食べたいと思いつつミスドを訪れることがなかった。そんな長期間ドーナツ食べてなかったのか）。
悩む間もなく私は２つのドーナツを頼んだ。むぎゅっとプレーンとなんたらかんたらという白いオールドファッション。本当は塩バターマフィンも気になったけれどさすがに3つはね、自重した。偉い。それから数億年ぶりに氷コーヒーを飲みたかったんだけれど、40分じゃ氷が溶けなさそうだからアイスカフェオレにした。賢い。
ドーナツおいし〜と思っていたら食べ終わった。美味しいものは儚い。
まだ10時30分である。カフェオレをちびちび飲みながら、残り時間を過ごす。向こうの子どもはメロンソーダを飲みつつ、追加でドーナツを買ってもらうためか再びレジに向かう。よかったね。こっちの子どもはハロウィン仕様の可愛いドーナツを買ってもらって嬉しそうだ。よかったね。幸せがあふれている。
スマホをいじる。ちら、まだ35分。ネットニュース。ちら、40分。ユニクロのサイト、42分。44分。45分。
残り時間30分を切るともう時間が気になってしょうがない。しかも気持ちトイレに行きたい。でも先ほどご夫人が出て来たばかりだからすぐには行きたくない。49分。そろそろ行くか？どうする？？目的地まで3分もかからないと思うけれど。
もう考えるのが面倒になって店を出た。早めに着くのはいいことだ。……と、相手から連絡がくる。「用事が延びちゃって10分くらい遅れる」。
10分くらいしかたないよね。52分。じゃああと20分くらい時間潰さなきゃ。ミスドでもう少しゆっくりすればよかったな、でももう出てきちゃったし。あ、そうだ本屋さんにでも寄ろうか、ドラッグストアで冷えピタないかも見ておこうかな。
そうやってぐだぐだしていたら、11時15分。少し遅れた。
