5/8晴れ、願い事なんて思いつかない

仕事からの帰り道、流れ星を見た。

 

コンビニの袋を片手に下げながら考え事をしていて、ふと前方左斜めを、南西の空を見上げたら、つーっと白い光が落ちていくのが見えた。あ、流れ星、かも、と考えるのと同時に、いや、あれは電線に車か何かのライトが当たって一瞬光って見えただけでは、と流れ星の可能性を否定する。そうして、流れ星が通り過ぎようかという瞬間になってはじめて、願い事を3回唱えなければということに思い至った。

 

しかし、肝心の願い事が思いつかない。とりあえずお金……と思って、でも具体的にいくらって言わないと向こうも困るよなところで流れ星に願ったことは誰が叶えてくれるんだろう、とやっているうちに白い光はあっけなく消えていた。あーあ、もったいないことしちゃったな。

家にたどり着くまで、まだしばらくある。そこそこ暗い道を覇気もなく歩きながら、私の願い事ってなんだろうと考えることにした。もしかしたら、また、流れ星を見るかもしれない。その時のために、3回唱える練習をしなくては。

流れ星を見つける前に考えていたのは、例に漏れず「仕事辞めたいなー」だった。それが深刻なものなのか単にだるいだけなのか、自分ではよくわからない。転職する勇気も能力もないけれど、今の仕事を今後何十年と続ける覚悟もない、そんな地球人が一人、うだうだと悩んでいるときに宇宙から星が落ちてきたのは、果たして偶然なのか。

さっさと辞めてしまえ、というお告げかもしれない。しかし、その日の面談で、今、長期的に抜けられると困るという話をされたばかりだった。

なんとなくメンタルが不調で、目に見えて影響が出てきたので上司に相談したばかりだった。話をして、無理だったらもちろん休むしかないけれど、職場の状況としては長期的に抜けられるとかなり困る、一週間程度の短い休みをとりつつしのげないか、と提案されて私も了承した。別に戦力として期待されているわけではなく、猫の手でも借りたい状況なだけで、そのことはよくわかっている。

客観的な意見をもらえて、少しこわばりが抜けたようなところもある。もう少し頑張れそう、と思ったところで職場の嫌なやつの顔を見て、あーやっぱり無理ーとなったところもある。そういうごちゃごちゃな感情を整理できなくて、安直に仕事辞めてーに走るいつものパターンに陥っていた。そんな帰り道に見た、流れ星。

 

結局、これといった願い事は思いつかなかった。絶対に欲しいものはないし、これだけはという目標もない。生きること、毎日を暮らすことにいちいち理由なんかいるのだろうか。起きてご飯食べて仕事したり本読んだり散歩したり、誰かに会ったりもしてそうして眠る。今はそれだけできればいいし、かろうじてできているので、大きな問題はない。まあ、仕事は嫌いだけれど、そんなものだろう。

連休中、太平洋を見に行ってきた。ああ、またフェリーに乗って北海道に遊びに行きたい。そうだ、こればっかりは自分ではどうしようもないから、次に流れ星を見たら「早く旅行に行ける世の中にしてくれ」と唱えよう。

さあ、いつでも来い。

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リアス式海岸なので、向こう側が見えない