4/10晴れ、宇宙人と働いている話

4月。

私自身は異動がなかったが、それでも忙しいのに変わりはない。ブログを書くのも久しぶりになってしまった。

  

その日は私の誕生日だった。一年ぶりの誕生日、と言っても今日は平日でろくに買い物も行けないから、週末にケーキでも買いに行こう、そんなことを考えながら出社する。さあ、今日も頑張りましょう。仕事中、異動してきた後輩に打ち合わせで使う会議室を案内するため、廊下へ連れ出す。ここがこーでさー、あーでさー等と説明してまた席に戻り、しばらくした後。パートの方からちょっといいですかと声を掛けられたので再び会議室へ向かった。

「私、何かしました?」

聞けば、私と後輩が連れて出ていったことや、その後輩にある社員が声を掛けた内容から、パートさんが何かしてしまったのでみんなで後輩を気遣っている、と考えたらしい。ので、私に、単刀直入に聞いてきたのだ。いやいや、私は単純に会議室の案内をしていて、ついてにその辺をぶらぶらしていただけで、そんなことは一切ございませんよと説明すると、今度はパートさんから職場の雰囲気が変で働きにくい、と相談された。

問題となっているのは、とある人物の行動だった。

私も働き始めて9年目、一応、中堅だ。パートさんから相談事の一つや二つされるようになったのかとのんきに考えていたものの、正直、新年度になってから変な感じなのは同じように思っていたので、困ったわねーとやはりどこかのんきに考えていた。

 

画面の向こうには人間がいる。

これは、いつかの研修で言われた言葉で、当時の私にとっては衝撃と言うか、考えたことのない視点だった。メールでも電話でも、文書でもなんでもいい。仕事でかかわっている連絡や通知、業務の指示は、簡潔な文字列で送られてくるけれど、その向こう側には血の通った人間がいる。そのことを忘れて、頭ごなしに否定したり強い言葉で責めるような対応をするのは、はたして適切かどうかという趣旨なんだけれど、今、我が職場で起こっていることはそういうことだった。

なので、あの人、宇宙人なんですよ、と教えてあげた。

科学が進んでいる自分の星が絶対的に正しいから、私たち地球人とは価値観が違う。その、話題の人物が後輩に何か話しかけるけれど、どう答えたらいいか後輩が困惑しているところを見ると、この宇宙人はまだ日本語が苦手らしい。何もなく静まり返った室内で、急に「大丈夫?」はさすがに意味がわからない。なんのこっちゃ。

その宇宙人から見たら私たちもまた宇宙人で、なんでこんな簡単なこともできないのか、と不思議に思うのは仕方がないけれど。

異星間交流に慣れていない私は、できれば私は地球人と働きたい。……と、偉そうに思ったけれど、私だってもしかしたら、実は火星人だったりするのかもしれない。何はともあれ、自分と違う考え方をする生き物を、まあいろんな考え方があるよね、と認められるようになった分、私は成長したのだと気づいた誕生日であった。

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やっと咲き始めた桜